ジムから帰ってきた悠仁くんがシャワーを浴びて、リビングに戻ってきたときのことだった。
「なあ、……#name#ちゃん」
「うん?」
振り返ると、悠仁くんはパンツを履いただけの状態で、ほかほかのまま立っていた。お風呂上がりはいつもこう。ピンク色のふわふわとした髪を、がしがしと雑にタオルで拭きながらスマートフォンを眺めている。
「どうしたの?」
「あのさ、……めろいって、なに?」
そう言って隣に座って画面を見せてくれる。悠仁くんは隣にいてくれるだけであたたかくて安心して、でもバキバキに割れた腹筋が丸見えだから、ちょっと恥ずかしい。服、着てほしい。
「なんかこれで出てきてさ。ほら」
そこには、”令和のメロ男特集 ! ” とタイトルに大きく書かれた記事が映っていた。
「………うーん、えっとね、」
なんと説明したらいいんだろう。
画面から顔を上げた悠仁くんと目が合う。前髪がまだ濡れたままのその姿に、思わず息が止まりそうになる。
「………めろいって言うのは、今の悠仁くんみたいな感じ、なのかな」
「ん、おれ?」
悠仁くんが不思議そうな顔をして、ふんわり笑う。笑うとなんだか、子どもみたい。強くてやさしい、もう立派な大人なのに、いつもそう思ってしまう。
「……パンイチってこと?」
「ううん、違うよ、…でも服は着て」
ちょっと怒った顔をしてみると、悠仁くんはごめんと言ってまた笑った。そして、大きな手でわたしの髪をそっと撫でる。シャンプーのいい匂いがする。わたしを見つめる悠仁くんの瞳はいつも、わたしのことが好きだと言っている。だから、あんまり怒れなくなってしまう。
「……あのね、」
「ん?」
「……めろいっていうのはね、めろめろになっちゃうよ、ってこと」
「んー……、じゃあ、#name#ちゃんはおれにめろめろってこと?」
「うん、そうだよ」
そう答えると、ピンク色の髪から覗く耳がわかりやすく赤くなった。
「……じゃあさ、#name#ちゃんもめろいってことか」
「え、…そうなの?」
「そうだよ」
悠仁くんの大きな手が、わたしの肩にそっと添えられる。抵抗する隙もないまま、わたしの身体は吸い込まれるようにソファーの上へと倒されてしまった。目の前が悠仁くんの身体で覆われる。心臓が、ドキドキする。
名前を呼ぼうとすると、その手がこちらに伸びてきて、親指がわたしの下唇をそっと撫で上げた。
「……なあ、#name#ちゃん」
「うん、……?」
「………おれがずっとめろめろなの、知ってた?」
囁くような言葉と同時に、熱い唇が重なった。