彼女をタクシーまで送り届けた虎杖さんが、こちらを振り返って苦笑する。
「……お前ら、いつからいたんだよ」
「い、今来ました ! !何も聞いてません ! !虎杖先輩のノロケも一切漏らしません ! ! 」
「全部聞いてんじゃん」
「……虎杖さん、あの」
「ん?」
「彼女さん、とってもかわいい方ですね……」
「はは、……でしょ」
フッと満足そうに、誇らしげに口元をゆるめて笑う虎杖さん。そんな表情、初めて見た。後ろでその場にいた全補助監督が絶叫している。
「で、どこで出会ったんですか?」
「一緒に住まれてるんですか?」
食い気味に質問を畳みかけようとする後輩たちを、虎杖さんはひらひらと片手で制す。
「はいはい、仕事仕事。お前らも早く報告書終わらせろよ〜」
どんなに質問を投げかけても、1文字たりとも教えてはくれないのである。
「ケチーーーッ ! !」
「ちょっとくらい教えてくれたっていいじゃないですか ! ! 」
「やーだよ、企業秘密だから」
そう言って、虎杖さんは唇に人差し指を当てて笑った。