「……悠仁くんは、合コン行ったことある?」
「…………え」
彼女からの唐突な質問には、いつもドキドキする。焦りを顔に出さずに、一瞬で正解を答える必要があるからだ。
「ん、……なんで?いきなりどうした」
「なんとなく……そういえば、どうなのかなって思って」
「………そっか」
さて、なんと答えるべきか。
正直、行ったことはある。でも別に行きたかったわけじゃない。明らかに恣意的な、駆け引きの働く場所がそもそも得意じゃないからだ。ただの飲み会だと言われて行ったら合コンだったのが1回と、どうしても来てほしいと頼まれて参加したのが1回。それだけ。
「……付き合う前に2回だけ、あるよ」
嘘はつけない。だから正直に答えた。そこからは彼女の反応次第で考えようと思った。
「そっか……あるんだね」
あ、まずい。直感でわかった。だって明らかに落ち込んでいる。なんか、……しゅん、って音が聞こえた。
「いや、でも行きたくて行ったわけじゃないんよ」
「……じゃあなんで行ったの?」
あ。ちょっと怒ってる。かわいい。
「どうしてもって、頼まれて。……人数合わせで」
「それって、女の子たちから悠仁くんに来てほしいってお願いがあったんじゃないのかな」
「……それは、……どうだろ」
なんかそんな話を聞いたような。忘れたけど。
「こっちおいで」
抱き寄せて、ソファーに座らせる。すっぽり俺の脚の間に収まった彼女は、そのまま振り向いてこちらを見た。
「付き合う前のことだから、いいよ」
「……全然いいよって顔じゃねぇけど」
手の甲で、その白い頬を撫でる。
「……モテた?」
「え?」
「モテモテだった?いっぱい連絡先聞かれた?」
「……まぁ、交換くらいはしたかな」
「いっぱいした?何人くらい?」
「んー……、そこまで覚えてないなぁ」
「そのときいた女の子、みんなだった?」
「……それはそう、だったかな」
「すごい、モテモテだ」
彼女の目は一瞬キラキラして、そのあと頬を膨らませて怒ったような表情になった。かわいい。
「やっぱり悠仁くんモテモテなんだ」
「……んなことねぇよ」
「そんなことあるよ。だってわたしがその女の子だったら、絶対好きになっちゃうもん……悠仁くんのこと」
彼女の手が伸びて、俺の左手をぎゅっと握る。かわいすぎてクラクラした。
「……それはおれだってそうだよ。#name#ちゃんがその場にいたら好きになってるよ」
「…………ほんと?」
「ほんと。どうやって仲良くなって連絡先聞こうかって、めちゃくちゃ考えるよ」
その頬が赤くなる。わかりやすくてかわいい。
「連絡先どころか、その日のうちにデート誘って、誰にも渡したくないから速攻で彼女になってくださいって拝み倒してるよ」
「………ほんとに?」
「うん、……いや、やっぱり大切だから、ちょっとずつ距離縮めるかな」
「……ずるい」
「ほんとのことだから。……んなあ、だからこっち向いて」
そのまま持ち上げて、向かい同士になるように膝の上に座らせる。
「交換した連絡先はさ、すぐ消してんの。だから安心して」
「……そうなの?」
「だって俺から連絡することねぇし。そもそも何回もスマホ壊してるから残ってねぇの」
「……うん」
「おれは#name#ちゃんの彼氏だからさ。ありがたいことに」
「ふふ、…うん」
「だから他は何も興味ねぇの。……わかってくれる?」
おでこをこつん、とやさしく合わせる。目の前の彼女の表情がふと緩んで、安心したように笑ってくれた。
「……悠仁くんがモテるの、わかるよ。すごくやさしいもん」
「んー?おれ、別に誰にもやさしくねぇよ」
「そんなことない、いつもやさしいよ」
「あー……それはさ、#name#ちゃんだから」
あまりピンと来ていない彼女に、とりあえずキスする。
「ぜんぶ#name#ちゃんにあげてんの」