サンクチュアリ

「ほんとに見る? これ、結構ガチなやつだよ」
ソファの背もたれに体重を預けながら、膝の間に彼女を引き込んで、後ろから抱きかかえるみたいにして引き寄せた。足の間に小さく収まった彼女の体は、いつ触れても驚くほど細くてやわらかくて、いい匂いがする。
「大丈夫、悠仁くんがいるから」
俺の胸に背中を預けたまま、彼女は振り返って楽しそうに笑った。上を向いた睫毛が自信ありげに揺れている。かわいい。
テレビ画面に映された、和製ホラー映画のタイトル。かなり怖いと以前話題になったやつで、興味はあったけど彼女にはハードルが高そうだから、特にウォッチリストに入れていなかったやつ。
「……ん、そっか。じゃあ見よ」
リモコンの再生ボタンを押しながら、後ろから抱き締める力を強めた。今まで一緒に過ごしてきたからわかる、絶対この子が平気で見られるレベルのものではない。だってキャッチコピーに「史上最恐」って書いてあるぞ、これ。けれど、彼女が楽しそうなので特に何も言わない。かわいいし、くっつけるし。「見れる !」と言うから一緒に見た映画が怖くて途中で断念したことなんて、今まで何度もある。そういうのもかわいいから、別に何でもよかった。
リビングの明かりを消すと、テレビ画面が不気味な青色を帯びていく。離島に立つ廃旅館を舞台にしたホラー映画。設定はよくありそうだけど、だからこそ幽霊が飛び出してくるシーンが容易に想像できて、だから怖いのだろう。
「……どう?怖い?」
「ううん、大丈夫。……でもこのおじさん、なんかすぐ死んじゃいそう…」
彼女はサプライズ的に与えられる恐怖にも弱いし、「このキャラクター絶対死ぬだろ」と思いながらそれを待つのも怖いらしい。かわいい。まあこのオッサンは絶対死ぬだろうな。
物語が中盤に差し掛かるにつれて、彼女の身体がじわじわと緊張で硬くなっていくのが背中越しに伝わってきた。どういうところで反応するのか、何が怖いのか、それがずっと気になって、こっちの視線はとっくに映画の画面から外れている。腕の中にいる彼女の横顔、きゅっと結ばれた唇、怖さを紛らわせるように俺のパーカーの袖をぎゅっと握りしめる小さな指先。そればかりに釘付けになってしまう。ホラー映画、ありがとう。今日も#name#ちゃんはかわいいです。
「……そんな無理して見なくてもいいんよ」
耳元で囁くと、彼女は肩をすくめて、必死に視線を画面に固定しようとした。
「こ、こわくないよ。まだお化け出てないし……」
この雰囲気はそろそろ出てきそうなんだよな。それも言わなかった。彼女の細い首筋にそっと顔を埋める。うなじのやわらかい肌に鼻先を寄せて、あまい匂いを深く吸い込む。やわらかい太ももに手を滑らせる。
「悠仁くん、くすぐったい、……っ」
「んー……、いいにおいする」
あやすように唇を動かすと、彼女の耳たぶがみるみるうちに赤くなっていく。テレビから流れるBGMが、地響きのような不穏な重低音へと切り替わり、画面のカメラワークがゆっくりと暗いクローゼットの隙間へと吸い込まれていく。 ついに幽霊のお出ましのようだ。
「あ、……っ」
彼女が短く息を呑んで、身を縮めた。
「おっと、……見んほうがいいよ」
後ろから手のひらで彼女の視界をそっと包み込むように覆い隠した。 視界を奪われた彼女の長い睫毛が、俺の手のひらの上でぱちぱちと不規則に瞬いて、くすぐったい痒みを残す。画面では、幽霊が急に飛び出してくるのが見える。まあこれは、怖いっちゃ怖い。
「……っ、悠仁、くん……もう出た、……?」
「ん、今すげえ顔のお化け出た。まだ見ちゃダメ」
画面の向こうでは、その登場に合わせたおぞましい叫び声や効果音が大音量で響いている。大げさでちょっと笑いそうになるけど、だぶんこれは彼女にとっては怖いやつだ。
視界を塞がれて完全に無防備になった、彼女の耳の後ろや白い首筋に向けて、音を立てながら何度も唇を寄せる。
「ん……っ、」
敏感な場所に落とされるキスの熱。恐怖のせいなのか、それとも俺が与えている刺激のせいなのか。その境界線はわからない。反応がかわいい。スピーカーから流れる不快な音は容赦なく続き、彼女は俺の手のひらの下で首を横に振る。
「なんか音も、こわい……っ」
「ん、やだよな」
彼女の耳を包み込むようにして、自分の胸へ彼女の頭をぎゅっと押し当てた。 俺の手のひらと胸板で、テレビからの不快な音はほとんど遮断されたはずだ。代わりに今、彼女の耳に届いているのは、俺の脈打つ心音だけ。
やがて、画面の向こうの阿鼻叫喚がひと段落して、例の幽霊はどこかに消えてしまった。静かなBGMに切り替わり、日常が流れるパートに移る。俺の手の下で、彼女が首を傾げた。
「……もうお化け帰った? まだ?」
「んー、まだいる」
まあ嘘なんだけど。画面にはもう、荒廃した街並みが静かに映っているだけ。でもまだ止めたくなかった。今度はうなじの生え際に深くリップ音を響かせると、彼女はくすぐったそうに肩をすくめながら、不思議そうに呟いた。
「……まだいる? 静かになったよ」
「いや、まだ全然いる。めちゃくちゃいる。お化けの大群」
「……ねえほんと?」
「ん、ほんと」
真面目なトーンを装って耳元で囁きながら、今度は耳たぶをそっと口に含む。やわらかくてあたたかくて、あまい。かわいい声を出してくれた彼女だったけれど、ふと俺の手の隙間から漏れるテレビの光が、明らかに明るく平穏なものに変わったことに気づいたらしい。
ジタバタと俺の手を両手で押し退け、視界を取り戻した彼女がテレビ画面を見る。そこには、すっかり幽霊が去って平和に会話している主人公たちの姿が映っていた。
「……あ ! いないよ、もう ! 」
勢いよく振り返った彼女は、ちょっと怒った顔をして俺をポカポカと小突き始めた。全然痛くない。かわいい。
「ねえ、悠仁くんちゃんと見てる?」
「ん?見てるよ」
そんな彼女の声を聞きながら、幽霊が出てくるたびにそっと目隠しを続けた。最後は頑張って見る、と言うので幽霊が旅館とともに大爆発するところを見届けた。いや幽霊って燃えるのかよ、と思ったけど彼女はちゃんと怖がっていたので黙っていた。めちゃくちゃな映画だった。やがてテレビから流れる激しい音がふっと途切れ、静寂が戻ってくる。 そして暗転したかと思うと、ゆっくりとスタッフロールの文字がせり上がってきた。よくわからない映画だった。
「……こ、怖かったけど、最後まで見れたね」
「うん、頑張ったな」
彼女の頭をそっと撫でる。映画中の7割は俺の胸に埋もれて目も耳も塞がれていたと思うんだけど。まあそれは言わなかった。何でもいい、かわいい。
エンドロールを見守って、部屋の電気を付け、テレビの画面を消した。暗転した液晶にお互いのシルエットがぼんやりと映り込む。それを見た瞬間、彼女が短く声を上げて、また俺の首にしがみついてきた。
「うお、どうした」
「⋯⋯映画だと、テレビから出てきたんだよ、」
「大丈夫、何も出てこんよ。……もう風呂入る?」
立ち上がろうとしたけれど、彼女は俺の身体から離れようとしない。床に足を着くことすら恐ろしいというように、俺の腰に細い脚を絡めようとしてくる。かわいい。
「⋯⋯お風呂、一緒に入ってくれる?」
もちろんそのつもりだったけど、こうやってお願いされるのはたまんねーな、と思う。
「いいよ、一緒に入ろ」
「⋯⋯映画だとね、床からも幽霊出てきてたんだよ」
「出てこんよ、ここマンションだから。しかも最上階」
「⋯⋯⋯でも」
「じゃあさ、こうやって風呂まで行こう、な?」
彼女の身体を抱きかかえ持ち上げた。あまりの軽さに一瞬だけ胸が痛んだけれど、首筋に必死に顔を埋めてくる彼女の体温が心地よくて、自然と腕の中に力がこもる。浴室へ向かう廊下を歩く間も、彼女は不安そうに時々顔を上げる。
「なーんも出てこんって。おれがいるじゃん」
「……うん」
「服、おれが脱がしたほうがいい?」
いたずらっぽく言ってみると、彼女はもう、と笑った。自分で脱ぐと言うので床にそっと足を降ろすと、彼女は自分のTシャツの裾を掴み、腕を上へと持ち上げた。すり抜けるようにして、小さくて丸い肩が現れる。それから薄手のインナーが持ち上げられていくに従って、白くて丸い、なだらかなウエストの曲線がゆっくりと露わになっていく。
「……ゆ、悠仁くん、⋯そんなに見ないで」
「やだ。お化け出たら危ねえし」
適当な言い訳を口にしながら、彼女の首元から鎖骨、そして胸元の膨らみに視線が吸い寄せられていく。脱ぎ捨てられた服から、彼女の甘い匂いと体温がふんわりと洗面所に広がる。俺もそのまま服を脱いだ。すっかり身軽になった彼女は、自分の腕で身体を隠すようにして、洗面台の床に視線を落とす。耳が赤い。かわいい。
「風呂、怖い?おれが先入ろっか?」
「……やだ、⋯いっしょがいい、」
消え入りそうな声で呟いた彼女の前にしゃがみ込んで、またそのやわらかい身体をすくい上げるように抱き上げた。ダイレクトに彼女の肌の熱と柔らかさが腕に伝わってきて、心臓がどくりと跳ねる。彼女の感情を一気に塗り替える方法を、俺は知っている。それを思い出して、一度小さく深呼吸した。
「わ、……っ、」
「大丈夫、床につかないように運ぶから」
浴室の扉を開けると、一気にあたたかい白い湯気がふたりを包む。腕の中の彼女が微笑んだ。
「……あったかい」
「ん。ちょうど沸いてるよ」
浴室の椅子に、彼女をそっと座らせる。真っ白な湯気の中に溶けていく彼女の白い肌。後ろに回り込んで座って、手元でシャワーの温度を確かめた。ちょうどよい温かさになったのを確認して、彼女の肩から冷えた身体全体へ、ゆっくりとお湯を滑らせていく。
「あったかい?」
「うん、あったかいねえ、」
お湯の熱に包まれて、彼女がほっとしたように小さく息を吐き出す。濡れて肌にぴったりと張り付いた髪、そこから滴るあたたかな雫が、お湯を弾く彼女の鎖骨の窪みに流れていく。濡れた彼女はとても綺麗だ。その無防備な姿に思わず視線を奪われながら、もう片方の手で彼女の濡れた肩をそっと撫でた。
「髪、洗ったげる」
そう言ってその額に手を添えようとしたけれど、彼女は不安そうに俺の腕をきゅっと掴んで、大きな濡れた瞳で見上げてくる。かわいい。お互い裸のときにそういう顔するのは、ずるい。
「どうした?」
「……こういう時っていつもね、目つむってシャンプーするのが怖くならない?」
「おれが見張ってるよ、楽しい話しながら洗うから。だったら大丈夫だろ?」
「……うん、」
「ん、いい子」
あやすように囁くと、彼女は観念したように、ゆっくりと両目を閉じた。視界を奪われた彼女の目の前で、お湯をそっと彼女の頭頂部からうなじへと滑らせていく。お湯を吸って重くなった髪を指先で梳きほぐしていく間も、彼女は手探りで俺の太ももをぎゅっと掴み、必死に俺の存在を確かめようとしていた。
手のひらに押し出したシャンプーのあまい香りが、お湯の熱で一気に浴室に広がり始める。それを両手でしっかりと泡立てて、彼女の頭を包み込むようにそっと触れた。
「……悠仁くんって、シャンプーするの上手だね」
「そう?自分の髪なんか適当にガシガシ洗ってっからさ。……力加減強かったら言って」
楽しい話をしようとしたけど、指に絡まる髪のやわらかさ、お湯に濡れてより一層赤く、艶を帯びていく彼女の背中の美しさ、そういうものに気を取られてしまう。彼女を構成するもの全部、何もかもがいとしい。
「流すからさ、顔にお湯かかんねえように、おれの方に頭預けて」
「うん……」
彼女は俺の胸に頭を預けて、上を向く姿勢になった。俺の鎖骨のあたりに彼女の後頭部が収まる。シャワーを弱めに調整し、おでこの生え際から優しく泡を洗い流していく。水滴が彼女の長い睫毛や、きゅっと結ばれた唇にこぼれ落ちる。その濡れた顔があまりにも無防備でかわいくて、思わず彼女の頬に触れた。親指をそっと滑らせて、水滴を拭うふりをしてその唇を軽く撫でる。
「ん……っ、悠仁くん、?」
「お化けなんて来ねえから。安心して目ぇ瞑ってていいよ」
シャンプーの泡たちを綺麗に流し終えた後、また彼女のやわらかい身体を抱き上げた。お湯が張られた浴槽へと一緒に身を沈める。なんだかほっとする。
「……悠仁くん、ありがとう」
「んなあ、お化けのこと、もう忘れた?」
「うん。悠仁くんがずっと見ててくれたから」
湯気の中で俺の胸にそっと寄りかかる彼女の頬は、浴室の熱でとろけるようなピンク色に染まっている。思わずそこにキスした。彼女の細い腰をゆっくりと抱き寄せる。あまくてやわらかい唇。怖いこと、悲しいこと、苦しいこと、そういう彼女が生きていく上で障害になるようなことは、俺が全部消してしまえたらいい。ずっとこうして、俺だけを見つめてくれていたらいい。そう思うのはわがままなんだろうか。何度も何度も、確かめるように深く食んだ。
身体の芯までほかほかになった彼女を先に浴槽から引き上げて、大きなバスタオルでその小さな身体をふわりと包み込む。少しひんやりとした洗面所の空気。大理石の洗面台の前に彼女を立たせ、髪や身体の水気を、バスタオル越しにそっと吸い取るように拭った。
「……っ、悠仁、くん、」
ふと、彼女が短く息を呑んで、胸元にぎゅっと顔を埋めてくる。
「ん? どうした」
「……ううん、好き」
湯気で少し曇った鏡越しに、彼女の後ろ姿が映る。また映画のことを思い出したんだろうか。逃げ場を塞ぐように、身体をぴったりと重ね合わせた。
「……おれも好きだよ。なあ、こっち見て」
耳元に唇を寄せる。それから彼女の後ろ髪をそっとサイドに流し、露わになった白い首筋に体温を刻み付けるように何度もキスを落とした。
「こんなことしてたらさ、たぶんお化けも帰っちゃうよな」
「……ふふ、そうだね」
「な、だからおれだけ見てればいいよ」
腕の中で彼女は小さく声を漏らし、すがるように俺の首に腕を回してくる。
「……悠仁くんは、怖いものってあるの?」
「んー?……あるよ」
「なに?」
俺の返答は意外だったようで、彼女はふと顔を上げてこちらを見た。
「……おれはさ、お化けも呪霊も別に怖くねーの。でもさ、…#name#ちゃんが泣いたり、痛い思いするのはやだし、一緒にいられなくなるとか、そういうのが怖い。……そういうのが、一番怖い」
「……ずっと一緒だよ」
「ん、おれもそうしたい。そのためだったら何でもするから」
絞り出した声は思ったよりも低かった。抱き締められているから彼女の表情は見えないけれど、俺の首に回されたその両腕は、いつにもなく強い力が込められていた。
「でも…、無理なことは絶対にしないでね」
「……うん、わかった」
「わたしも悠仁くんが痛い思いをするの、いやだよ。お化けより、そっちのほうがずっと怖いよ」
「……ん。約束。無理はしねえよ」
彼女の手が、俺の頬をそっと包む。そこに重ねるように手を置いて、少しだけ目を閉じる。その約束を、全身に染み渡らせるみたいに。



そうして寝室の白いシーツの海へ、ようやく滑り込んだ。 カーテンの隙間から、月光がうっすらと差し込んでいる。暗がりの中、彼女の丸くて大きな瞳は俺をまっすぐ見つめている。そこには俺しか映っていない。それだけで満たされる何かがある。
「ん、おいで」
彼女は手探りで俺のトレーナーの裾をぎゅっと握りしめ、吸い寄せられるように胸元へと潜り込んできた。かわいい。俺の足首にこすりつけるようにして、少しでも体温の高い場所を探している小さな足先。俺の脚でそれを包み込んであたためる。
「悠仁くん、あったかい……」
その声は眠気に溺れていて、手のひらでトントンと背中を一定のリズムで叩くと、俺の体温が彼女にじわじわと移っていく感覚がした。
「……悠仁くん」
「ん?」
「……お布団のすきまから、手が出てきたらどうしよう、」
どうやらまた思い出してしまったらしい。そういえば、そんなシーンがあったな。彼女は真面目な顔でそんなかわいいことを呟きながら、掛け布団をごっそりと自分の頭の上まで引き上げた。完全に布団の中に潜り込んで、暗闇の中で俺の胸板に小さく丸まっている。
「じゃあさ、隙間なくしちゃえば大丈夫だろ」
一緒に布団を被る。彼女のやわらかい身体を、重たい布団と俺の全身で丸ごと包み込んだ。布団の中にこもる、石鹸の香りと彼女の熱。
「なんも怖くねえよ。ずっとおれ、ここにいるから」
「……もし夜中に起きてトイレ行きたくなったら、」
「ん、そんときはおれも一緒に行くよ」
「……お水飲みたくなったら、」
「そんときも一緒に行くよ、大丈夫。全部一緒にいるから」
暗闇の中で、彼女の手が手探りで俺の頬に触れ、安心したようにやわらかく笑う気配がした。そうして、彼女の呼吸は徐々に深く、規則正しいものへと変わっていく。
「……悠仁くん」
「んー?」
「明日もね、今日の映画の2、見ようね」
「お、……うん、約束な」
かわいい約束。あんなに怖がってたのに。小さく聞こえてきた彼女らしいおねだりに、暗闇の中で思わずふっと声を出して笑ってしまった。
しばらくすると、スースーと小さなかわいい寝息が聞こえ始める。月明かりの下、安心して眠る彼女の寝顔。
「……かわいい」
ぽつりと呟いた言葉は、ぼんやりとした月明かりのどこかにゆっくりと消えていく。彼女の目元や頬に、名残惜しさを全部ぶつけるみたいに、そっとキスの雨を降らせた。
次起きたときも、その次も、俺は必ずこの子の隣にいる。どんな朝も、どんな夜も。それは変わらない。
彼女を抱きしめる腕の力を少しだけ強めて、俺もゆっくりと目を閉じる。
ただ、あたたかくてやさしい夜が、二人の体温を溶かすように、どこまでも深く続いていく気がした。

2026-07-18